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菱山中央葡萄酒の深沢様に、ワインづくりの歴史や、思っていることなどを、お話いただきました。深沢様のお宅に伺いました。その時の様子は、当サイト特ダネのページの写真をご覧下さい。
(お話の内容を、ほぼそのまま載せていますので、言い回しなど、山梨県の方言が多少含まれています。読みにくいところがあるかもしれません。)
菱山中央葡萄酒では、現在でも、フリーランという手間のかかる方法で酒造をしている。通常のぶどうの搾り方であれば、80〜90%くらい果汁が出るのだが、フリーランで行うと、約60%くらいかな。
大規模なワイナリーではないので、株だしをしている人たちは、30人くらい。明治から続く役員は、今のところ、8名。
昔は、「農家から、安く、甲州ブドウを買い叩いて作るもの」というのがワインだった。醸造の技術がなかったものだから、メルローなどの品種でないと、ヨーロッパ並みのワインは、できなかったんだ。甲州ブドウだと、うまいワインはできなかったんだ。
ずっと低迷期が続いたが、ソムリエの田崎真也さんが、甲州種のワインをTVで紹介してくれたことから変わっていったんだ。和食によく合うワインとして紹介され、山梨県内の、お客様よりも、山梨県外のお客様に注目されたんだ。
私の知る限り、勝沼のワイナリーの中で、どこよりも一番勉強したのが、メルシャンだな。一時は、売り上げの低迷から、勝沼町からの撤退を考えていたが、キイロカ(黄色香)という、甲州ブドウが取れたんだ。嗅いだことのない香りだったな。
そこで、各メーカーが、違うワインづくりの方法を考え出していったんだ。
その上、今では、各ワイナリーともに、2代目が勉強している。すごく、ワイン作りをね。大変素晴らしいことだと思うよ。醸造技術も格段に上がっていることは間違いないな。
しかし、近年、国産ワインをはじめ、勝沼のワインも注目を集めているが、原料の甲州ブドウが無くなってきた。甲州ブドウは、「切る人あっても、植える人なし。」と言ってね。新たに植える農家の人がいないね。傾斜地での、作業はつらいものであり、農機具も機械が入っていけないからね。それに、若い後継者も、いないからね。山梨でも少ないだろう。
菱山中央醸造でも、深みのある甲州ブドウを確保したいと思っているよ。
戦時中は、ワインの中に含まれる酒石酸が、ラジオ技術、つまり無線だな、に良いとされて、軍から集めに来ていたなあ。
自分達が、小さい頃は、菱山でも多くの家庭で、個人的にワインをつくっていたんだよ。もっとも、その頃は、ぶどう酒って言ったけど。自分もよく、納屋にいって、ワイン樽の中に、ホースを入れて飲んだよ。親もわかって、ホースを隠されてね。今度は、いねの茎を取ってきて、吸ったんだ。ストローだな。甘くて、うまかったなあ。もう時効だろ。何十年も前の話だよ。
戦時中は、砂糖が無くて、よいワインができなかったな。砂糖の代用品を使ったんだが、すぐ酸化してしまって、飲めなかったよ。まずくて。
一時は、どうしても美味いワインができなくて、どうしようと悩んだよ。技術もなかったしね。醸造権利を放棄しようというところまでいったんだ。
大手の企業やら、大学の研究所やら、話が沢山来たんだが、そのうちに景気も悪くなってきて、買い手がいなくなったんだ。その後に、まるき葡萄酒の技術者の池田さんが、技術指導してくれたんだ。
衛生面はもちろん、醸造に関するすべてを指導してくれた。手をしっかり洗うことや、清潔な長靴を履けとか、そこからすべてだよ。もう、20年以上前になるな。恩人だよ。池田さんは。
(管理人 注 池田様は、現在、イケダワイナリーを経営されています。イケダワイナリーのワインは、美味しいはずですね。)
新酒もうまいが、ワインは2,3年越しがうまいな。その年の売れ残りが、貯蔵されていたら、それが一番うまいよ。すぐ飲んじゃダメだ。(すみません。)
いまでは、菱山中央醸造も、毎年、仕込みや蔵出しに、40〜50人くらいの方が、ボランティアで、手伝ってくれるよ。ありがたいね。
今年は収穫の時に、雨で外で飲めなかったんだが、晴れていたら、外でみんなでワインを飲むんだ。美味いぞ。
さっきも、うちの奥さんと話していたんだが、ぶどうが売れたり、ワインが売れたりが、いつまで続くのかと思うよ。景気が良くなって欲しいと思うね。
約2時間ほど、お話を伺いました。その後、ワインセラーを見せていただいたり、家の裏にあるリンゴをいただきました。
ありがとうございました。
たくさんの方に、ワインを愛している方々が造りだす、勝沼のワインの素晴らしさを知ってもらいたいと思いました。
こちらが、菱山中央醸造です。
ぶどうの丘入り口近くにあります。現在、工場見学などはしていません。
菱山中央醸造のワインは、すぐ隣の「ぶどうばたけ」という売店で
販売されていますが、本数が少ないです。期間も秋頃限定です。
運が良ければ飲める、幻のワインですね。
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